ファンケルの島田和幸社長は1月4日、年頭にあたりグループ従業員へ以下のように訓示を行った。

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新年明けましておめでとうございます。

2021年は、「コロナを超えて、新しい絆を紡ぐ年」です。2020年私たちは初めて経験するような逆境の中で、色々な苦労をし、チャレンジをしました。そこから、見えてきたものは「未来への希望」でした。そのうえで、今年を表す言葉を三つ選びました。

一つ目は、「信頼」です。すべてのステークホルダーからの期待に応え、信頼と絆をより強固にしていきます。ファンケルは創業から40年、無添加化粧品や差別化されたサプリメント、お客さまに寄り添うサービスで「信頼」を得てきました。これは創業者の池森さんや先輩社員から私たちが受け取ったバトンです。今後もお客さまの「体験価値」を高め続けることにしっかりと取り組みます。そして従業員と会社の信頼、従業員のエンゲージメントを大事にします。この会社が好き、愛着がある、ということがとても大事です。みんながそう思える会社にしていきましょう。

二つ目は、「前進」です。ジャンプアップはなく、一歩一歩着実に進むしかありません。まず、当社が目指す「ファンケルらしいOMO」の構築にIT・デジタル化は不可欠です。これまで進めてきたことを一つ一つ 進化させ、お客さまともっとつながり、関係を深めていきます。そして、グローバル化についても全社で取り組みます。自分たちで打って出るグ ローバル化はすぐそこまで来ています。待ったなしです。

三つ目は、「機敏」です。停滞は後退です。環境変化に対応しようとしないものは生き残れません。変化を眺めていてはいけません。すべてがデジタル化していく中、即応力が大切で、一層の機敏さが求められます。変化を恐れず、すぐ変え、すぐやってみることです。自らの殻や枠を外して、やり続けましょう。

私たちは2030年に目指す姿「VISION 2030」の実現に向けて、2021年は「信頼」、「前進」、「機敏」を共通の価値観にして、「新しい絆」を紡いでいきます。

2020年は、ファンケルにとってそもそも、「大転換期」「パラダイムシフト」。大株主の変更、創業者の引退を経て、本当の意味で独り立ちをした年でした。そこで、コロナ禍に直面。数年分の変化がこの1年で一気に起きました。しかし、このような中だからこそ、足元を見つめ直すことができ、大きな気付きがありました。

一つは、「ファンケルの強み」の自覚です。当社は通信販売と直営店舗の直販チャネルが売上全体のの75%を占め、EC・D2C・DXのノウハウ・インフラが整い、他社が今目指していることにすでに取り組んでいます。複数の販売チャネルのデータの一括管理や、通販用の物流センター、コールセンターなどは簡単にできるものではありません。私たちはシステム面でもノウハウ面でも、新しいことをやろうと思えばすぐにできます。他社が一朝一夕で築くことができない強みです。それに加えて、全社が一体感を持って、機動的に動けるチーム力という強みが、私たちにはあります。

もう一つは、創業から40年間で培ってきたお客さまとの深い絆です。ファンケルが、世の中、お客さまから必要とされていることを実感し、お客さまの不安や不満など「不」を解消して差し上げることが、私たちのやりがいであり、喜びであることを再確認できました。色々な不自由やストレスがあった年でしたが、そういう中でも、お客さまとの絆を通し、「この会社が好き」という従業員の会社に対する愛着、エンゲージメントが高まったことが2020年の一番の成果だったと思っています。

これらを通して私たちが見出したのは、「原点・絆、そして未来への希望」でした。ファンケルにとって、逆境に直面した時、それに惑わされることなく、思い定めるべきは「理念に立ち返り、私たちの使命を問い直す。ファンケルを信頼し支えてくださるお客さま、ステークホルダーを見つめ直す」ことです。

現在、2021年4月にスタートする新しい中期経営計画を策定中です。そこで目指すべきことをお話しします。

第一にファンケルは「製品」ありきです。独自性を磨き、製品開発力をもっと高めていきます。大事なのは、「質」と「スピード」です。

第二にITをもっと活用して「ファンケルらしいOMO」を推進し、お客さまとの絆づくりを深化させていきます。

第三に新関西物流センター、新三島サプリメントメント工場、ITなどの大型投資案件を成功させ、未来への投資を成果につなげていきます。

第四に2030年に向けて、ALL-FANCLでグローバル化を推進します。

第五に人づくりにもっと取り組みます。自分たちの会社を自分たちで良くすると思い定めることが起点です。一人一人の成長なくしては、変化への対応も、ファンケルの明るい未来もありません。次期経営層をはじめ階層別教育や、選抜型語学トレーニングなど、グローバル教育も強化します。この会社が好きで自信を持って働けるという気持ちを大事に、ファンケルをもっと良い会社に成長させ、お客さまや市場の期待に応えられる力を個々でつけましょう。

2021年は、必ず、明るく希望を見つけられる年になるでしょう。仕事やプライベートを通じて、喜びや感動を分かち合えることを楽しみにしています。今日も、明日も、これからも元気に過ごしましょう。