資生堂は、国際医療福祉大学医学部形成外科学 松﨑恭一主任教授と自治医科大学、生理学研究所との共同研究により、AIを活用し、皮膚を超高精細にコンピューター上に再現して解析する「デジタル3DスキンTM」技術を開発した。これにより、コンピューター操作で、皮膚内部の超微細構造まで3次元で自在に解析することが可能となった。この皮膚解析の革新的な技術、デジタル3DスキンTMを活用し、様々な製品・サービスの開発を進めていく。
同研究成果の一部は化粧品技術者の世界大会「国際化粧品技術者会連盟ミュンヘン大会2018(IFSCC Congress 2018)」で口頭発表し、最優秀賞を受賞している。
皮膚の状態は見た目の印象を左右する。皮膚の状態を決める要因を解き明かすには、皮膚を内部まで詳細に観察して、理解する必要があるが、皮膚の内部ではコラーゲンや細胞等、様々な構造が複雑に入り組んでいるため、その立体的な形状や分布、関係性等を観察することは困難だった。
資生堂では、今回、電子顕微鏡で観察した皮膚を、コンピューター上に超微細構造まで再現して解析する、デジタル3DスキンTM技術を開発した。これにより、コンピューター上で皮膚内部を、3次元で自在に解析できるようになった。例えば、皮膚の構造の分離、特定の構造の単離、周囲の構造との関係性の解析等、皮膚内部を統合的に理解するための様々なアプローチが可能となった。
デジタル3DスキンTMの開発には、人工知能 (AI: Artificial intelligence)の活用が鍵となった。コンピューター上で自在に皮膚を解析するには、皮膚の多様な構造をあらかじめ分類する必要があるが、皮膚内部の膨大な構造を、人間の力で分類することは非常に困難。そこで皮膚の構造をAIに学習させ、自動的に分類する手段を確立。これにより、分類時間を大幅に軽減して、デジタル3DスキンTMの確立に至った。
今回開発した皮膚解析の革新的な技術、デジタル3DスキンTMは、皮膚内部の理解を飛躍的に進める様々な手段を提供する。またこの技術は、共有も容易なことから、領域を超えた様々なコラボレーションを可能とする。資生堂では、こうした先進性を活用し、自由な発想と多様なアプローチにより、皮膚の実態解明と健やかな皮膚の実現に貢献していく。