花王は3月18日、北海道大学低温科学研究所の村田憲一郎助教との共同研究において、物質表面を原子レベルの精度で観察することが可能な顕微鏡などを用いることで、木綿表面の特殊な水(結合水)を直接観察することに世界で初めて成功したことを発表した。

この結果は、木綿表面の結合水が繊維同士を接着剤のようにつなぎとめることが、「濡れた木綿が自然乾燥後に硬くなる現象」の原因になっているという、花王が2011年に提案したモデルを実証するものだ。つまり、この研究成果は、衣料用柔軟剤がどのようにその効果を発現するかに関して、従来までの定説である“摩擦低減”とは異なる新たな視点を与えることになる。

また、村田助教は物質表面・界面に存在する特殊な状態の水という最先端分野の研究者であり、今回の結果により、近年盛んに議論されている物質表面の水の構造・機能を理解するための手掛かりとなることも期待される。