@コスメとのコラボで若者への訴求力を強化

一二月一二日、スギ薬局は、名古屋市栄に都市型店舗の「名古屋ゼロゲート店」をオープンした。出店先のゼロゲートも向いのパルコも若者向けの商業施設であることから、同店はF1、M1層(20~34歳の男女)を対象にしたビューティー強化型店と位置付けた。

目抜き通りの大津通りに面した店舗は日本から撤退したアパレルのForever21の居ぬき物件で、売り場面積は217坪。正面に加え、壁面も一面がガラス張りのため、明るく、開放感がある。内装は、ビューティー強化型の1号店である東京・原宿店を引き継ぎ、白を基調にしたことで、華やかでさわやかな印象に仕上げた。

売り場の6割をビューティー関連商材に充て、プチプラコスメから韓国コスメまで若い世代に人気の高い商品を集めたほか、キャラクターグッズや文具など、若い世代が好む雑貨類も取り揃えた。

特筆すべきは、@コスメとのコラボ企画だ。@コスメの口コミランキングとスギ薬局での販売データから割り出した売れ筋商品のベスト3を店内2カ所に設けた「ランキングタワー」で紹介するほか、@コスメの口コミで人気が高まっている商品を毎月紹介するコーナーも設置。さらに、コラボならではの新たな商品の取り扱いも実現した。これは、舞台衣装メーカー、チャコットのオリジナルのファンデーションで、これまではドラッグストアには卸していなかったが、「@コスメの店舗だから」という理由で、今回、初めて取り扱いが認められたという。なお、@コスメとのコラボ店は、千葉県のワカバウォーク店に次ぐ2店舗目。通りから見える窓側にSUGI+@cosmeの看板も掲げ、コラボ店であることを強調。人気サイトの知名度を生かし、若い世代への訴求力を高める構えだ。

@コスメの口コミとスギの売れ筋から分析した商品のベスト3を紹介するランキングタワーを2本設置した

@コスメの口コミで人気が高まっている商品を紹介するコーナーも設けた

肌診断ミラーや男性化粧品専門コーナーも導入

売り場づくりでは、楽しみながら商品選びができることを重視した。ドレッサーを5台設置し、自由にメイクを試せるようにしたほか、それぞれのドレッサーには、肌の状態分析やバーチャルメイク機能を搭載した肌測定器「HiMirror(ハイミラー)」をドラッグストアとして初めて設置。肌診断やバーチャルメイクを楽しみながら、新しいスキンケアやメイクのトライアル利用も促していく構え。また、新たな取り組みでは、ヘアアイロンのお試しコーナーも設けた。十数種類の商品を置いて自由に使えるようにすることで、商品販売にもつなげていく。

スギ薬局初の取り組みとして、男性化粧品を集めた「MEN‘S GROOMING」のコーナーも設置。「BULK HOMME」や「BULL DOG」のように、これまでロフトなどのバラエティショップを中心に扱われていた高価格帯のスキンケア商品に加え、BBクリーム、コンシーラーといったメイク商品も取り揃えるなど、品揃えの幅を拡大。売り場も、黒枠で囲み、棚の上に「MEN‘S GROOMING」の表示を付けて目立たせ、さらに鏡も設置してじっくり商品選びができる環境を整えた。

このほか、訪日客が集まる繁華街という立地に合わせ、免税対応も実施。ドラッグ商材に加え、水筒や包丁など、訪日客に人気の高い商品も取り揃えている。

@肌診断機のハイミラーは顔を映すと肌の状態を自動で診断する

高価格帯のスキンケアやBBクリームなども取り揃えた男性用化粧品コーナー「MEN‘S GROOMING」

ターゲットを変えて近距離出店でのカニバリを防ぐ

なお、スギ薬局では、同店の300㍍先の同じ通り沿いに「大津通り店」を同時オープンしたが、こちらは三越や松屋など老舗百貨店に近い立地を生かし、ゼロゲート店より上の年齢層の女性を対象に設定。二層店舗の二階をビューティー売り場に充て、黒を基調にした内装と対面カウンターの設置で、落ち着いて商品が選べる店舗に作り上げた。対象マーケットをずらすことで、近距離の2店舗同時出店でもカニバリを起こさない店作りを目指す構えだ。

名古屋ゼロゲート店から300㍍ほど先にある大津通り店はターゲットの年齢層を上げることでカニバリを防いでいる