今後、どのような変化が起こると予測しているか

角田 内需はそんなに強くはない。だから中国人のインクリメンタル需要をどれだけ取り込んでいくかということと、グローバルにブランドのスケールアップをどう図っていけるかが注目点だと思います。あとは中国でも日本の化粧品はプレミアムブランドと認知されてまだ間もない。だから韓国のプレミアムブランドと比較しても、まだまだ伸びしろがある。しばらくはこの成長は継続する環境であると思いますので、市場の期待に応えるような対応が不可欠でしょうね。

佐藤 香港のデモ、米中貿易摩擦など不安材料は多い。直近では、新EC法の取り締まりの強化で中国の人気アプリ「RED」がダウンロードできなくなり、インフルエンサーが大勢削減されました。この影響でさらに代購の活動が冷え込み、インバウンド需要に悪影響があるのではと懸念しています。目先は心配材料が多い印象です。

宮迫 目先はそうですが中長期的には伸びていく市場。企業はグローバルでいかに伸ばせるかが鍵だと思います。中国では地方都市の消費者をどう取り込んでいくのか各社の施策に注目したい。

佐藤 そうですね。国内はGDP成長率も低いのであまり伸びない。日本人自身は、プレミアム嗜好ではないのも分かってきた。中国だけでなくても、東南アジアでも成長率が高い国の人々の需要をしっかりと獲得していくというのが、成長を継続するには何よりも重要。これからますます海外やデジタル、新しい技術で成長させることができるマネジメント力の高い企業と、従来の組織や、やり方に依存している企業とで、業績に差がついてくると思います。

※2019年9月7日発売「月刊 国際商業 19年10月号」有力アナリスト座談会からの抜粋