ポーラ化成工業は、同グループのオーストラリア発祥化粧品ブランド「Jurlique(ジュリーク)」独自のサステナブルな植物エキス製造法における生体への有用性を科学の力で検証し、9月28日~10月1日に開催された第36回IFSCC世界大会において発表した。

従来の植物エキス製造では、単一の抽出法で得られる成分が限られるため、未利用のままの成分が生じている(図1)。また、十分な機能性を得るために異なる植物のエキスを組み合わせる必要があり、植物資源の有効活用という観点でも改善の余地があった。同研究はこれらの課題に向き合い、「1種類の植物から最大限の機能を引き出す」というサステナブルな設計思想を提案するものである。

ジュリークでは、同じ植物原料から複数の方法で成分を順に抽出し、それらを組み合わせた「多段階抽出混合エキス」を化粧品に配合する手法を伝統的に受け継いできた。この方法は、バイオイントリンジック(BIO-INTRINSIC、内在的な、本来備わっている〈植物そのものが持つ力〉)法と呼ばれ、古くからの錬金術の流れをくむジュリーク独自の抽出法だ。しかし、これによって実際に高い効果が得られているのかは解明されずにいた。そこでラベンダーを例に同手法の有効性を科学的に検証した(図2)。

研究では、オーストラリアのジュリーク農場で収穫されたラベンダーから3段階に分けて3種類のエキスを抽出(蒸気蒸留・プロパンジオール抽出・灰化ミネラル抽出)し、得られたエキスそれぞれを単独または混合して皮膚の細胞に加え、その作用を確認した。細胞に対する作用の確認では、遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析と呼ばれる最新の方法で細胞応答を評価した。

研究の結果、抽出法の異なるラベンダーエキスは、それぞれ異なる働きを持っていた。さらに細胞の「掃除システム」であるオートファジー(細胞が古くなったタンパク質や壊れた部品を分解・再利用し、細胞内の環境を整える自己浄化のしくみ)に着目したところ、三つのエキスを組み合わせると、オートファジーの異なる段階が同時に活性化することが判明。さらに、細胞の中で情報を伝えるプロセス(cAMP代謝プロセスにおける発見)においては単独のエキスでは確認できなかった全く新しい機能が現れる例が発見された(図3)。

このことは、1種類の植物から得られた成分を余すところなく利用すると、皮膚の細胞に対する効果も包括的・相互連携的に発揮され、抽出法の異なる成分群を組み合わせることで、1種類の植物が持つ機能を多面的に引き出せる可能性を示す。また、ジュリークが受け継いできた伝統的な実践に科学的意義を裏付ける成果と言える。

同研究により、植物から得られる成分を余すところなく活用する多段階抽出法は、環境への配慮と高い美容効果を両立させる「サステナブルビューティー」の実践として有用であることが示された。