佐藤久美子(さとう・くみこ)

1996年から化粧品輸入ビジネスに従事。「スイスライン」「ユイルエボーム」といったブランドを日本市場に導入。エコサート認証コスメとの出会いをきっかけにオーガニックコスメのセレクトショップ「オーガニックマーケット」をオープン。1999年よりSLJ代表取締役。

機能性成分の注目度の高まりが自然由来成分にも波及

年の瀬が近づき、慌ただしい。高市政権の好調な滑り出しに水を差すかのような、内外の動きが気になっていたら、ユーロがついに180円を超えてしまった。何とかならないものだろうか(苦笑)。円安はますます続き、これに伴い輸入ブランドは値上げが止まらない。物価高の影響もあり、生活者は支出配分の見直しをしているのだろうか、高額商品の動きは鈍い。そうした中で唯一活気が見られるのが、成分を強調した商品だ。バラエティの分野でも、「CICA(シカ)」や「アゼライン酸」「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」などの成分名が、ブランドや商品名より目立つ表記がされ、店頭に並んでいる。成分重視の商品は、コストパフォーマンスが高いように感じられるのだろうか。小ぶりでシンプルな容器に詰められたそれは、濃縮されているように見える。

ナチュラル・オーガニック化粧品でも同様に、「アルガン」や「ローズヒップ」などの100%のボタニカルオイルは、20〜50ミリリットル未満の小さい遮光瓶が使われている。こちらは製品の性質や保管上への留意からではあるが、凝縮された希少オイルに見えるのか、店頭では用途への問いに加えて、「手持ちの化粧品にプラスしやすいのは、どのオイルか?」「どのタイミングで使うのか?」と具体性を帯びた質問が増え、売り上げは伸びている。リピートにもつながり、新たなボタニカルオイルを探し、試す傾向もある。植物成分そのものへの興味や認識が高まっているのだとしたら、とても喜ばしい現象だ。

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