ピジョンは2025年11月18日、東京都中央区の本社にて新ブランド「ピジョンキッズ」の発表会を実施し、キッズ市場への本格参入を表明した。育児用品市場で長年リードしてきた同社が、0〜1歳を中心とする世代から、2〜6歳の「自立」フェーズへ領域を拡大する取り組みとなる。
発表会冒頭、矢野亮社長は「ベビーを中心に育児用品市場をリードしてきたピジョンが、自立のきっかけを作るキッズ向け生活用品で新たな市場開拓を目指す」と説明。2030年に売り上げ20億円、35年に40億円規模を目指す販売計画も併せて示した。
続いて、「ピジョンキッズ」ブランド統括者のベビーケア事業本部マーケティング部商品戦略G武藤友瑛氏は、共働き世帯の増加により家庭内の時間が逼迫する一方、97%以上の親が「子どものやりたい気持ちを尊重したい」と感じている現状(※)を紹介。そのうえで、子どもが「自分でできた!」という体験を積む機会の重要性を指摘し、忙しい日常の中に、「できた」を増やすきっかけを提供するブランドとして「ピジョンキッズ」を立ち上げたと語った。
※ピジョン調べ
第1弾商品として、泡の色が変化し、洗い流しのタイミングが分かる「魔法のあわあわボディソープ/シャンプー」を発売。ボディソープは青色の泡が白に、シャンプーはピンクが白に変わる仕様で、子どもが自分の力でしっかり洗い切る体験を補助する設計。低刺激・弱酸性で、アレルギーテストも実施済みとする。今後は「お風呂シーン」からスタートし、「歯みがき」「お掃除」など生活シーンに順次拡大する開発計画も明かされた。モニター参加者からは「この商品で洗う楽しさを覚え、今では一人で洗えるようになった」などの声が寄せられ、子どもの成長を実感する場面が増えたという。
また、発表会では浜銀総合研究所の遠藤裕基上席研究員も登壇。「赤ちゃん物価指数から考える子育て市場の行方」をテーマに講演を行った後、武藤氏とともにキッズ市場に関するトークセッションを行った。
ベビー期からキッズ期へと成長する過程において、売り場も商品選択も急に移り変わり、保護者が“次に何を選べばよいか分からない”という状況が発生しているのが実情だ。ピジョンがキッズ領域への本格参入することで、長年にわたりベビー領域で築いた安心・安全の信頼が、成長フェーズにも自然に寄り添えるとして、矢野社長は「ベビー期に培ったブランドへの信頼をそのままに、子どもの挑戦や『できた』を支える付加価値を提供することで、移行期の不安を解消し、継続的に利用いただける提案ができる。子どもはある日突然キッズになるのではなく、連続した成長の中にいる。だからこそ、ベビー領域から段階的に広げていく当社のアプローチが最も自然だと考えている」と意気込みを語った。★
月刊『国際商業』2026年01月号掲載























