ちふれホールディングスは、2025年9月15~18日にフランス・カンヌで開催された、第35回IFSCCカンヌ大会2025において、「タイトジャンクションバリア障害と神経過活性におけるグリチルリチン酸ジカリウムと異性化糖の相補的な効果」に関する研究成果をポスター発表した。

発表タイトルは、日本名が「タイトジャンクションバリア障害と神経過活性におけるグリチルリチン酸ジカリウムと異性化糖の相補的な効果」、英文名は「Complementary effects of saccharide isomerate and dipotassium glycyrrhizate on tight junction barrier dysfunction and nerve activation」。

近年、明確な症状が現れないものの、痒みやチクチクなどの皮膚の不快感を感じ、敏感肌に悩む人が増加している。同研究では、敏感肌の主要な発生要因である皮膚バリア機能低下(タイトジャンクション関連因子の発現低下)と、感覚神経の制御不全(神経伸長関連因子の発現バランスの乱れ)に着目し、ヒスタミン刺激下における異性化糖(SI)およびグリチルリチン酸ジカリウム(DPG)の単独・併用効果を調査し、その研究成果を発表した。

①遺伝子レベルでの相補的制御効果

分化させた表皮細胞において、ヒスタミンによるタイトジャンクション関連因子(CLDN1、CLDN4、ZO-1)および神経伸長関連因子(Sema3A、NGF)の遺伝子変動をSIとDPGが制御するかを遺伝子発現解析により定量した。
その結果、SIとDPGはそれぞれ異なる遺伝子を発現制御し、併用時には相補的な制御効果を示した(図1)。

➁タンパク質発現量および細胞間局在の向上

分化させた表皮細胞において、ヒスタミンによるタイトジャンクション関連因子のタンパク質発現量低下および細胞間発現の低下を、SIとDPGが抑制するかを、ウェスタンブロッティング法と免疫染色法により、観察した。
その結果、これら2成分は、それぞれ異なるタイトジャンクション関連因子のタンパク質発現量低下と細胞間発現の低下を抑制した(図2)。また、2成分の併用によりタンパク質発現量および細胞間発現を相補的に増強した(図3)。

タイトジャンクションの強化は感覚神経の剪定に寄与することが知られているため、これら2成分の併用はバリア機能の強化だけでなく、敏感肌の不快な症状の低減にも寄与すると期待される。

➂皮膚バリア機能の強化

SIおよびDPGについて、タイトジャンクション関連因子バリア機能の指標となる経上皮電気抵抗(TEER)値を測定した。その結果、SIは添加後72時間で、DPGは24時間および48時間後で、TEER値が有意に上昇した(図4・図5)。また両成分の併用では、24・48・72時間すべてのタイミングでTEER値が有意に上昇した(図4・図5)。

この結果から、両成分の併用はタイトジャンクション関連因子のタンパク質発現量増加と、細胞間発現を強化し、細胞間の結合を強化することで、物理的にも皮膚バリア機能を強化する可能性が示唆された。

同研究結果は、SIとDPGの併用が、敏感肌のバリア機能低下と神経過活性の双方に対して改善効果を発揮する可能性を示唆している。同社は今後もさらなる研究を通じて、敏感肌の人々の悩みに応えるスキンケア技術の提供を目指していく。