英国の大手スーパー「マークス&スペンサー(M&S)」が、2022年から販売しているプライベートブランド(PB)の香水シリーズに、高級ブランドのデザイナー香水に限りなく似せた香りが続々登場し話題となっている。同社は、食料品専門のスーパーと衣料品および日用品も備えたデパート的な大型店舗の二本立てで全国展開しているが、香水は大型店舗およびECを通じて販売している。「ディスカバー・コレクション」をはじめ10種以上の品ぞろえで、価格は100ミリリットルボトルで10英ポンド(約2000円)前後。そっくりとうわさされる高級ブランド品の5分の1から10分の1だ。
M&Sの姿勢は興味深い。広告やパッケージ上で「某高級香水と同じ香り」とは一切うたっておらず、ボトルデザインは簡素、容器にはシンプルなラベルが貼られているのみだ。似ているとされるブランド香水とはなんの関係もない商品名をつけ、あくまで「M&Sオリジナル」として打ち出しているのだが、購入した人が有名香水との類似性に気づき、口コミ発信から話題が拡散することを初めから見込んでいるようだ。模倣あるいは複製としての正面衝突は避けつつ、消費者間のコミュニケーションやメディアに任せて効果を得るという構図だ。
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