さまざまな分野で世界でも最も厳しいとされるEU法――筆者の住むベルギー・ブリュッセルには、その成り行きを身近で追いながら、自社や自国産業、環境や市民のために働きかけようと、世界中のあらゆる業界団体や市民団体がひしめいている。法案や法改正などで中心的役割を果たす欧州委員会や欧州議会がここにあるからだ。一見分かりにくい化粧品業界関連EU法と、今、何がどのように決められようとしているのかを、外観してみよう。
EU法というと、皆目見当がつかないと感じるかもしれない。しかし、日本の法律に比べれば、立法事実となる根拠、法案の起草から、議会や理事会(各国担当閣僚)による審議、差し戻しや修正などは、かなりの透明性をもって進められる。また、さまざまなステークホルダーを招いての公聴会やパブコメなどが長期計画に則って、明示され、粛々と積み重ねられている。欧州議会の議員は、加盟国の市民によって選挙で選ばれる。圧倒的多数を握る党派はないので、強行採決など起こらない。また、普通の国と異なるのは、立法権限は、議会と理事会(加盟国の担当閣僚によって構成)の両方にあるので、たとえ、議会で採決されても、理事会で採決されなければ成立しない点だ。法案は、議会と理事会の両方で審議されては差し戻されて加筆修正され、また審議して追加条項が加えられ……ということを何度か繰り返し、採決されなければ廃案となる。日本のように、議会の開催や会期を与党が恣意的に決めることはできないし、欧州は関わる皆のワークライフバランスを重視するので、年間のスケジュールは1年以上前にぴっちりと決められ公表されているため、長期的な見通しが立てられる。だから、そのサイクルや法律用語に慣れれば、結構取り組みやすい。
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