第25回JAPANドラッグストアショーが、2025年8月8〜10日の3日間、東京ビッグサイト東展示棟(4〜7ホール)で開催された。会期中は、8日ビジネスデー、9日ビジネスと一般、10日一般公開日とし、来場者数は、8日が2万6969人、9日3万1418人、10日4万1123人となり、3日間の合計は9万9510人。10万人近い動員規模は、国内小売り・流通業界における同展示会の存在感を裏付けている。出展規模は398社・1302小間で、前年(385社・1280小間)から微増。ドラッグストア業界の最新動向を発信する場として、25回目を迎える今回は、業界関係者による商談と生活者に向けた情報発信の両面で充実した内容となった。
今回のテーマは「地域の皆様に最高の未来をお届けする〜ドラッグストアでセルフメディケーション NEXT25〜」。セルフメディケーションの普及・深化を軸に、業界が直面する社会的課題や新しい生活者ニーズに応える展示構成が特徴で、次世代のドラッグストアの在り方を示唆する内容となった。
オープニングセレモニーにおいて、日本チェーンドラッグストア協会の塚本厚志会長は「今回のテーマは、地域の皆様に最高の未来を提供するという大胆なテーマ。この3日間の間にこの意味が皆様にご理解いただけるものと思っています」として、ドラッグストアショーを通した業界の発展への意気込みを語った。続けて、米原まき実行委員長は「単なる物売りではなく、健康相談や情報発信で地域の皆様を健康にする、笑顔にするということに全員が取り組まなくてはならない。今日から始まるこの先の25年をこの場にいる皆様と第一歩を踏み出したいと思っている」と決意を語るとともに、力強い掛け声で会場を巻き込んだ開会宣言を行った。
8月8日に開催されたオープニングセレモニーには多くの関係者が集まった
また今年は、例年の記者会見に代わり、パネルディスカッションを開催。NEXT25を担うドラッグストア経営者7名が「これからのドラッグストアの話をしよう」をテーマに、現在のドラッグストア市場の成長要因やDX、フェムケアなど幅広く議論を交わした。
主催者ゾーンでは、今年3回目となる「フェムケアゾーン」は「自然体で輝く未来へ フェムケアで出会う笑顔をつなげよう」が注目を集めた。ゾーン内での出展社の商品紹介コーナーの他、主催者コーナーでは、最新情報を集めたプレゼンテーションをはじめ、各種測定体験を実施。生理痛体験、最新の検査装置を使用したエクオール測定、女性ホルモンの健康度チェック、骨健康度などの各種セルフチェック体験を実施し、来場者の現在の身体の状態を自覚できる機会を提供した。
約400社が集った出展社ブースもヘルスケアやビューティケア、ライフケア、ホームケア、ペットケアなど、企業ごとに特色のある小間がならび、大盛況だった。中でも、今年ブースデザイン賞を受賞した桃谷順天館グループは、明色化粧品でブースを構成。ストーリー体験型コンテンツ「香りの迷宮」と「美肌の羅針盤」の二つの体験を提供した。
「香りの迷宮」では、三つのブースにそれぞれ準備された違った「花」「葉」「木」の香りの中からインスピレーションで好きなものを選び、スタンプを押すことで、自分だけの香りを調合。鏡にボタニカルな壁面が反射するブースを抜け迷路のようなルートをたどった最後には、選んだ香りを調香師がムエットに吹き付けてくれ、お土産に持ち帰ることができた。出口近くに置かれていたのは「美肌の羅針盤」。「水」「香」「光」など六つのエレメントが描かれた羅針盤を回すと、引き当てたエレメントに対応した明色のアイテムをその場でプレゼント。体験価値を前面に押し出したブース展開で、独自の存在感を発揮した。★
月刊『国際商業』2025年10月号掲載