2025年2月は、資生堂ジャパンとアルビオンが化粧品専門店の経営者を東京に招き、政策発表会を行った。両社ともに国内事業は売り上げが好転し、反転攻勢の準備が整った。資生堂は体験とブランド力で客を呼び込み、CRMを回して愛用者を育成。新たに三つの香水ブランドを提案し、香水需要の高まりを生かす考え。「香水の客層は良いから期待している」とは出席者の声だ。アルビオンは得意の店頭活動の強化で復活の道筋を確かなものにするという。これについて専門店経営者から異論や不満は多くない。とはいえ「やや拍子抜け」との声が出たのは、両社ともに新体制発足の年だからだ。資生堂ジャパンは24年11月に中田幸治副社長が着任し、アルビオンは25年1月から小林勇介専務取締役が営業本部本部長と国際事業本部本部長を兼務。それぞれの個性を戦略に込めるには着任から日が浅く、25年の戦略は従来の延長線上の施策が多数を占めた。資生堂ジャパンは26年から新専門店政策に移行することを明かし、アルビオンは25年秋から満を持してデジタル戦略が始動する。「耳触りの良い話を聞きたいわけではない。もっと製販で危機感を共有し、動きを変えたい」という専門店経営者の声にどう応えるか。新体制の特徴が色濃く出る来年以降、化粧品専門店チャネルの動きが活発になることを期待したい。

月刊『国際商業』2025年04月号掲載