2025年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

世界的に政治経済の環境が不確実性を増す中で、われわれは2023年から構造改革を断行し、経営資源の選択と集中を行いました。昨年は、世界各地の花王グループ社員一人一人の力を集め、さまざまな困難を乗り越え、グローバル成長の手応えを感じることができました。ひとえに、花王商品を手に取ってくださるお客さまやお取引先さまをはじめ、花王に関わる全てのステークホルダーの皆さまのご支援の賜物です。私たちを支えてくださった皆さまに深く感謝申し上げます。

2025年は、われわれのパーパスである「豊かな共生社会の実現」に向け、さらなる高みをめざして一歩を踏み出します。花王の強みは、生活者を起点とする本質的な研究から生まれる唯一無二の技術です。これに加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を用いた先進的なマーケティングを組み合わせることで、お客さまの困りごとを高いレベルで解決し、暮らしに欠かせない製品を生み、新たな市場を創造してまいりました。この考え方は、中期経営計画「K27」の達成に向けた成長戦略「グローバル・シャープトップ」に反映しています。

お客さまに強く支持される新たな価値を提案し、世界で唯一無二の存在となること。市場を世界全体と捉え、お客さまの切実なニーズに対してエッジの効いた解決策を示し、特定セグメントのトップシェアをめざすこと。そのために、これまで受け継いできた「よきモノづくり」の伝統を、次のステージに進化させます。

そして、企業として進化する土台となるのが、社員が生き生きと働ける環境づくりと多様性の推進です。花王は今年で創業138年を迎えますが、売上規模はこの40年間で約6倍に伸びました。この道のりは決して平たんではなく、先人たちは数々の試練に直面する中で、社員の叡智を結集し、果敢に挑み、変化することで乗り越え、成長を果たしたのです。多様な視点と経験を持つ人財が活躍できる職場環境を整えることで、イノベーションが加速し、誇りある花王の企業文化がより豊かに開花するはずです。国籍や性別などの多様性を尊重する職場づくりにも、引き続き取り組みます。

花王は、グローバル社会の一員としてさらなる前進を果たし、皆さまと共に新たな価値を創造することをお約束します。どうぞ2025年も、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。新しい年が、皆さまにとって素晴らしい一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。

長谷部佳宏(花王代表取締役社長執行役員)