少子化が話題だ。2020年度の日本は、出生数が4.7%減。婚姻数が16.1%減。20年の妊娠届は4.8%減で、21年の出生数は80万人を割るかもしれない。これが現実のものになれば、国立社会保障・人口問題研究所が17年に出した予測は約10年も前倒しとなる。米疾病対策センター(CDC)によると、米国の20年の出生数は約360万人。これは4%減で、すべての民族、人種で減少が見られたという。20年の中国は出生数が約1200万人で、前年から2割近い減少である。中国国家統計局は20年に行った国勢調査の結果として、11~19年の出生数が年平均100万人ほど増える、と発表した。抽出調査の誤差を理由としているが、大きく数字が揺れ動くのは中国らしい。とはいえ、少子化が進んでいることに変わりはない。CNNは、ブラジルの大都市リオデジャネイロにおいて6カ月連続で死者数が出生数を上回っている、と報じた。これは少子化ではなく、新型コロナによる危機だが、人口動態への影響も心配される。いずれの国も化粧品市場の規模が大きく、人口減は懸念材料の一つだ。こと日本についていえば、少子化対策は喫緊の課題と話題になるものの、久しく成果は見えてこない。これでは国内市場の縮小は一段と進む。シニア世代は預金を切り崩す段階で、いまや貯蓄率は米国以下になったとも聞く。シニア市場は伸びるとはいえ、財布の紐はそう簡単に緩まない。GDPの4.7%を少子化対策に注ぐハンガリーは人口減少に歯止めがかかってきたそうだ。特異な首相が率いる人口1000万人の小国とはいえ、日本に必要な本気度、継続力があるのは確かだ。「こども庁の創設」の議論に時間を費やすのはもったいない。