メイクアップブランド「ファシオ」のリブランディングは、コーセーの歴史に名を刻むかもしれない。独自の機能性は残しつつ、「わたしらしさ」という令和の価値観に対応。生活者一人一人の等身大の魅力を引き出すブランドへと進化した。4月16日のEC限定先行発売はSNSで話題となり、5月16日の発売に向けて小売業との協働は好スタートを切った。しかし、これは歴史に名を刻む要素の一つにすぎない。

今回のリブランディングでは、若手中心のプロジェクト運営方式を採用した。これまでのやり方は、研究、商品企画、開発、販売企画、宣伝など、各部門による分業制。役割が異なる選手がリレーのようにバトンをつなぎ、受け渡していくバトンタッチ方式だ。だが、ファシオのリブランディングでは、あえて従来のやり方を採用せず、各部門から集めた20代中心のプロジェクトチームに主導権を持たせ、役員はもちろん、現場を切り盛りする役職者も口を挟まない。市場調査、コンセプトワーク、商品開発、店頭什器の作成など、あらゆる工程を若手に託すのは、コーセーでは新しい試みだ。ファシオを含むコンシューマーブランド事業の責任者、鎌田昌人執行役員は、次のように振り返る。

顧客接点である店頭の什器は、自分の部屋にいるように、くつろぎながら商品を選べるリラックスした雰囲気を意識している

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