4月号では、LVMHの2020年決算について概観した。同社と双璧を成す世界最大の化粧品グループ「ロレアル」も2月に決算報告を行った。シャネル、クラランス、シスレーなどを含め、フランスの化粧品メーカーはコロナ禍の1年をどう乗り切ってきたのだろう。

20世紀初頭、ヘアカラーからスタートしたロレアルは、今では、メーキャップ、スキンケア、ヘアケア、日焼け止め製品、香水などの分野で50以上のブランドを抱え、世界中のデパートの化粧品売り場から、スーパー、ドラッグストア、薬局、美容院、Eコマースなどあらゆるチャネルで販売する巨大グループ企業となった。グループの会長兼最高経営責任者(CEO)のジャン=ポール・アゴン氏は、ビューティ業界にとって20年は未曽有の危機ではあったが、社員の全力をあげた努力で下半期には成長に転じ、市場シェア拡大を実現できたと語った。また、逆境のもとでも、持続可能な成長におけるグローバルリーダー、多様性・包摂性に優れたトップ企業10、世界で最も倫理的な企業の一つに、またビジネスを学ぶ大学生の働きたい企業でも欧州企業で唯一トップ10位に選ばれるなど、「戦略的決断における強さと確固たる信念をもって、迅速で柔軟に挑むことで、財務以外でも良い結果を達成できた」と誇った。同氏は、昨年10月の取締役会で、15年間務めたCEO職を5月1日付で退き、会長兼副CEOとして、後任のニコラ・イエロニムス氏を補佐することが決まった。

長らくロレアルの顔としてCEOを務めたジャン=ポール・アゴン氏
©Thomas Laisné – La Company – L’Oréal

5月1日付でロレアル新CEOに就任したニコラ・イエロニムス氏
©Jean-Baptiste Huynh – L’Oréal

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