日中関係が冷え込んでいる。国連安全保障理事会では非難と反論が応酬し、中国の大手航空会社は日本路線の航空券について、キャンセル無料の変更期限を3月28日から10月24日へと延ばした。政治の緊張が、往来の心理にまで影を落としている。だが、ビジネスの現場に目を転じると、政治の温度と企業の動きは必ずしも連動していない。中国企業が蓄積してきたライブコマースの知見に着目し、業務提携を結んだ日本企業がある。日本市場で本格化するTikTok Shopで先手を打つ構えだ。逆に中国企業には、日本ブランドと越境ライブコマースでの協業強化を模索する動きを見せる。本土向けではなく、第三国市場を見据えた提案である。また、中国化粧品メーカーの中には、自社ブランドで国内市場を切り開きながら、欧米ブランドの買収によってグローバル展開を狙う戦略にかじを切った企業も現れている。国内景気の減速や国際政治の混迷を真正面から受け止め、成長戦略を組み替えている。では、なぜ彼らの組織や人材は、これほど迅速な戦略転換に応えられるのか。そこには、日本企業が見落としてきた意思決定や現場運営のノウハウがあるのではないか。その答えを確かめるため、政治の動きを意識しながら市場と向き合う中国ローカル企業の現場を取材行脚することにした。そこから見えたものは、誌面で詳しく報告する。

月刊『国際商業』2026年03月号掲載