資生堂は、皮ふ上で柔軟性の高い収縮膜を形成する同社の「Second Skin」技術、および処方を進化させ、2週間連用することで目袋のボリュームを改善する新たな基剤を開発した(図1)。また、収縮膜による微弱な圧縮刺激が皮ふ内部に働きかけることで、コラーゲンの産生と再構築が促進され、皮ふが受けた力に応じてより適した状態に導かれる可能性を見いだした。

同社は2018年に、ポリマーベースの基剤の上に専用の基剤を重ねて塗ることで、肌と一体化し凹凸を補正する人工皮ふを肌上に形成する「Second Skin」技術を米国ベンチャー企業Olivo Laboratories社より取得し、研究を重ねてきた。
同社は既に、「Second Skin」技術が酸素や二酸化炭素を透過し、肌を乾燥から守るバリア効果を有し「第二の皮ふ」とも呼べる特性をもつこと、同技術が「目袋の即時形状補正効果」や連用によるたるみ・シワ改善効果、薬剤浸透促進効果、オクルージョン効果、選択的皮脂吸着効果・角層剥離効果など多岐にわたる効果を有することを報告しているが、「Second Skin」技術を更に進化させるべく、検討を続けた。
今回新たに「目袋のボリューム改善効果」をもたらし、皮ふ内部の形状変化への寄与を見いだした。これにより、目袋のボリューム改善効果について、美容医療とは別の選択肢をお客に提供することが可能となった。「Second Skin」技術は、環境や加齢に左右されない、ヒトの肌のポテンシャルを超えて、もう一つの皮ふを創る発想のテクノロジーだ。
今後も化粧品の枠を超えた圧倒的な物理的効果・オクリュージョン・薬剤送達によるスキンケア効果で、生活者の肌悩みに応える新たな一手を提案していく。今回得られた成果は、新たな製品やサービスの開発に活用していくとしている。
「Second Skin」技術は、皮ふ上で柔軟性の高い収縮膜を形成し、その膜が収縮する際に生じる張力を利用して皮ふの膨らんだ部分を押し込むテクノロジーだ(図2)。これまでは日中に目袋を目立たなくする目的の使用や、2カ月間毎日使用し続けることで膜を取り除いた後の素肌の目袋のボリュームを改善するといった効果が見いだされていたが、今回はさらに収縮力を向上させ、2週間で効果が発現する基剤が開発された(図3)。

目袋の大きさが改善するメカニズムを明らかにするため、コラーゲンが立体的に張り巡らされている中に真皮線維芽細胞が生育している三次元真皮モデルを構築し(図4)、微弱な圧縮刺激を毎日数時間与えながら1週間培養した。その結果、刺激開始1日後にはコラーゲン産生が促進され、1週間後にはコラーゲン再構築の兆候が認められた。興味深いことに、未刺激の状態では薄くなった三次元皮膚モデルが、刺激を加えることで厚みを維持し、さらに物理的強度の保持が示唆された(図5)。

この反応は、皮ふが傷を治癒するために真皮を再構築する過程に類似しており、微弱な圧縮刺激が線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンを産生し、受けた力に応じて自身の環境を再構築し、より最適な状態へ導いていることが示唆された。























