日本化粧品受託製造業懇談会(JC・OEM)は、2025年10月17日に東京都北区の北とぴあにおいて第30回JC・OEMセミナーを開催。「未来に繫げるOEM/ODMの成長戦略」をテーマに、中国など東アジアのみならず販路が拡大する東南アジア各国に精通する、シンガポールに拠点を置くAICシンガポールの池田浩一郎代表がOEM/ODMとしてのASEAN市場との関わり方について説明。また、より厳しい対応が迫られていく化粧品製造設備構築について竹中工務店エンジニアリング本部製造・物流施設川下泰範本部長が語り、今後の日本の受託製造業の在り方を模索、知見を共有した。

セミナーに先立ち実施した定時総会では、G瑚(ジーゴ)、ハピネス、ファインケメティックス、プリマール、ベイコスメティックスの5社が入会、退会社はなく、会員社数は25年7月末日時点で113社となったことが報告された。

続くセミナーでは、第1部でAICシンガポールの池田代表が「シンガポール発!ASEANでの化粧品OEM/ODM攻略検討セミナー」のテーマで講演。ASEANで小売店、美容サロン、クリニック、ECプラットフォーマーなど1000社以上とのネットワークを構築しているAICシンガポールの知見やノウハウをもとに、政治、経済、社会それぞれの切り口で、シンガポールをはじめとしたASEAN加盟各国のヘルス&ビューティー市場の概況について説明した。ヘルス&ビューティーの中でも化粧品に関しては、ASEANの多くの国で韓国発の美容トレンドが市場を席巻。相対的に日本化粧品のブランド力は低下している。ただ、技術に基づく「清潔感」「透明感」といった訴求は一定の支持を得ており、高品質・安全性のイメージで中・高価格帯で人気を博していること、また、同地域の経済面でのカギを握る華僑との関係性構築がキーになることなどを伝えた。

AICシンガポールの池田浩一郎代表

その中で、OEM/ODM分野においてはマレーシアやインドネシアなど供給網が成熟している国とそうでない国によって戦略を考えていくことが重要になることを示した。

第2部では、「次世代の化粧品施設構築を目指して」のテーマで竹中工務店の川下本部長が講演。化粧品GMPへの適合、次世代化粧品工場、次号継続への取り組みといった三つの軸で、化粧品研究・製造施設づくりに関する取り組みを詳述した。

竹中工務店エンジニアリング本部 製造・物流施設 川下泰範本部長

月刊『国際商業』2025年12月号掲載