第一三共ヘルスケアは、同社が独自に開発した肌の透明感評価法である「透明感スコア」を中心としてさまざまな肌の状態との関連性を調査した結果、肌の透明感は“肌のキメ”の状態に大きく依存することを明らかにした。
同社は、印象に左右されがちな肌の透明感について、客観的かつ定量的に評価可能な独自指標「透明感スコア」を開発し、透明感の向上を目指したスキンケア製品の研究開発に取り組んでいる。「透明感スコア」では、肌画像から得られる「輝度(人の目に入る光の量)」と「黄み(b*値)のばらつき」を説明変数(結果の予測や説明に関与するデータのこと)とし、輝度が高く色ムラの少ない肌を“透明感のある肌”と定義している。つまり、肌の透明感は、輝度の高さとともに、黄みのばらつき、すなわち肌の色ムラの少なさに大きく関係する。
今回、輝度や色ムラがどのような肌の状態と関連しているのかを明らかにするため、独自に開発した評価方法である「透明感スコア」を中心に、さまざまな肌状態との関連性を調査した。その中で、特に“肌のキメ”との関連性が強く示された。
この研究成果に基づき、“肌のキメ”を整え色ムラを抑えるアプローチによって、視覚的な肌の透明感を向上させるための新たなスキンケアの開発が実現できると考えられる。
試験は20~50代の一般女性66名を対象に肌画像を撮影し、「輝度」と「黄み(b*値)のばらつき(標準偏差)」を用いて「透明感スコア」を算出した。あわせて、各種測定機器や角層評価法を用いて、肌の状態を多角的に評価した。
その上で、算出した「透明感スコア」およびその構成要素である「輝度」「黄み(b*値)のばらつき」と、肌の三次元形状を測定できる皮膚分析器「アンテラ3D」によって得られた毛穴の数、肌の粗さ(テクスチャー)、肌表面の隆起やくぼみの体積との相関関係を分析した。
(1)「透明感スコア」と「アンテラ3D」から得られたキメ評価値(肌表面の微細な凹凸や毛穴の数を数値化して表したもの)との相関解析
取得した肌画像をもとに、「透明感スコア」と4種のキメ評価値との相関を、スピアマンの順位相関係数(二つの変数の順位関係をもとに、-1(逆相関)〜1(正の相関)で関係性を示す指標。0は無相関を意味する)を用いて解析した。なお、キメ評価値は数値が大きいほど、肌のキメが乱れている状態を示す。
解析の結果、毛穴の数・粗さ・くぼみ体積・隆起体積のいずれにおいても、「透明感スコア」との間に有意な負の相関(r)が確認された(図1)。これは、キメが乱れている肌ほど、「透明感スコア」が低下する傾向があることを示しており、肌の透明感とキメの状態には強い関連性があることが明らかになった。
(2)「輝度」および「肌の色ムラ(黄みのばらつき)」とキメ評価値との相関解析
前述(1)で「透明感スコア」と肌のキメ評価値との間に有意な相関が確認されたことを受け、その構成要素である「輝度」および「黄み(b*値)のばらつき」とキメ評価値との関連性についても検証を行った。
それぞれの指標と4種のキメ評価値との相関を、スピアマンの順位相関係数を用いて解析した結果、すべての組み合わせにおいて有意な相関が認められた。なかでも、肌の色ムラを示す「b*値の標準偏差(b*SD)」とキメ評価値との間に、特に高い正の相関が確認された(図2)。
この結果から、肌のキメはとりわけ色ムラと強く関連しており、肌の透明感に影響を与える重要な要素であることが示唆された。
今回の知見から、肌のうるおいを保ち、凹凸の少ないなめらかな肌である「キメの整った肌」を目指すことが、透明感のある肌づくりにおいて重要なアプローチであると考えられる。
同社は今後、同研究を製品開発に応用するとともに、細胞レベルまで深く掘り下げてメカニズムを探究することで、肌を整えるとともにQOL(生活の質)向上につながる新しいソリューションの提供を目指していく。