国内化粧品市場を見ると、2000(平成12)年の化粧品基準の制定以降、異業種からの参入やメーカー機能を持たない新興企業の増加、アジアンコスメブランドの台頭と業界が活性化する半面、安全性や品質の担保、基準すれすれの広告表現の増加など化粧品業界がこれまで積み上げてきた信頼を損ないかねないリスクも増えている。一方、人口縮小で国内マーケットの大きな伸びが見込めない中、化粧品業界は海外展開を積極化しているが、国・地域で異なる制度や規制が壁になっている。化粧品の規制や制度設計において重要な役割を担う厚生労働省は業界の現状をどう見ているのか。厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課の林 亜紀子 課長補佐に話を聞いた。

規制緩和で活性化するも新たなリスク因子も散見

――化粧品業界の現状をどう見ていますか。

化粧品は、以前は旧薬事法のもと、品目ごとに承認を取得しなければ流通できませんでしたが、2000(平成12)年9月に化粧品基準が制定され、安全性や品質等、企業の責任のもと製品を流通させるといった制度に2001(平成13)年4月から移行。つまり製品に関する製造販売届を都道府県に提出し、全成分表示のもと企業が安全性を管理することで流通が可能になりました。異業種、海外ブランドなどが参入しやすくなり、生活者の選択肢が広がったというメリットがある一方で、製造販売業者の責任のもとという点では、販売開始前に品目ごとに行政チェックが入るわけではないので、品質、安全性の担保は企業によるところが大きくなっています。幸い、規制緩和から20年がたちますが、各業界団体の参画企業は法令をよく理解し、順守してビジネスしていただいていると感じています。一方で、海外からの化粧品輸入も増加し、新規に参入する企業が増えている中で、改めて日本の化粧品に関する制度を理解してもらうための発信をする必要があると感じています。

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