コロナ前の常識は非常識になった
国内メイク市場の回復が鈍い。2020年初頭に始まった新型コロナ禍に伴う外出機会の減少とマスク着用は、メイク需要を削ぎ落とした。生産動態統計調査(経産省)によると、20年の仕上げ化粧品の累計販売金額は前年比34.5%減。全9カテゴリーが前年割れで、特に口紅は、唇がマスクで覆われたことから買い控えが起こり、同56.4%減と最も落ち込んだ。最新の統計(21年1~7月)では、おしろい、アイメークアップ、まゆ墨・まつ毛化粧料の3カテゴリーは前年実績を上回ったが、コロナ前の19年の水準には遠く及ばない。市場環境は厳しい状況が続いている。
だが、ブランド別に見ると、様相が異なる。売上減が続くブランドもあれば、ヒット商品を生み、成長するブランドもある。例えば、アディクションは、21年3月期が前年超え、21年12月期(変則決算)の上期も前年比30%増。コロナの逆風を物ともせず、右肩上がりの成長を続けている。また、21年5月発売のケイトの「リップモンスター」は、発売直後の5月10日週にセルフ口紅市場のシェア55%以上を獲得(花王調べ)。発売4カ月の累計出荷数は100万本を超え、「いまでも店頭は品薄が続いている」(ドラッグストア)という。つまり、コロナ禍は、メイクブランドの勝ち組と負け組を生んでいる。
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