ランコムの2019年は全てのディストリビューションで市場を遥かに上回る成長で終了した。ブランドとしても今世紀で最もスピードのある成長だ。この数年のヒーロー製品に集中する戦略が成功しており、インバウンドが衰退したなか、日本人客を確実に獲得していた強さを発揮した。高級スキンケアブランドは消費増税後に軒並み過酷な状況となっているが、ランコムは増税直前に基幹製品のジェニフィックをリニューアル新発売し、10月以降も順調な成長で売上げを牽引し続けている。しかも、過去数年行ってきたリブランディングも効果を発揮し、ブランドへの信頼感が増した結果、ヒーロー製品以外へも顧客の関心が広がり、ブランド全体が底上げされてきている。総合化粧品ブランドとして、完璧な状態だ。

揺るぎない強さを見せるランコムだが、慢心することなく将来に向けた取り組みも開始している。昨年はコミュニケーションの手段を見直し、デジタルメディアとプリントメディアの投資バランスを大きく変更した。消費者はどちらか一方に寄るのではなく、ブランドへのリーチとして機能するデジタルと、発信される情報への信頼感の高いプリントの両方に何らかの形で接しており、双方向からの発信が必要だとの分析によるものだ。ラグジュアリーの中で、ごく初期にデジタルに集中したランコムだが、舵を切り直すのも早かった。デジタルメディアについては、今後ツイッターを中心に信頼感のある情報提供に注力し、加えてユーチューブではラグジュアリーな表現を新たに開発していく方針だ。

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