パンテーンの復活劇は、じつに鮮やかだった。P&Gジャパンの大平貴洋執行役員が仕掛けた、ヘアケア発想から脱却し、ビューティケアブランドに進化させる戦略によって、パンテーンは成長軌道を描き始めた。四半期の増収率は2桁増で推移。また、約10年もの間、停滞が続いていたヘアケア市場が1〜2ポイントの上昇トレンドに入っている。P&Gジャパンが展開するヘアケアブランドはh&s、ハーバルエッセンス、ヘアレシピ、ヴィダルサスーンと多彩で、大平流ブランド改革がパンテーンだけで終わるはずがない。「まだ戦略は3合目」と語る大平執行役員に次の一手を聞いた。

パンテーン改革に、まだ満足していない

――2018年から19年にかけて、パンテーンの業績が伸びていますが、想定内の結果でしょうか。

大平 正直に言うと、成果が出るのは、もっと先だろうと覚悟していました。約10年間、P&Gはヘアケア市場にイノベーションを起こせず、市場活性化に貢献できていなかった。その我々がヘアケアをビューティケアに進化させる戦略を発表しても、多くの人が半信半疑だったと思います。それでも、成功事例が一つ、また一つと増えるに従って潮目が変わった。小売業との協業が広がり、戦略はスピードアップしました。製配販が一体となることで、ビューティケア発想の商品づくり、ブランドの考えに共感してもらうコミュニケーション、店頭訴求という3軸が連動し、想定以上に早く成果が生まれたと思います。

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