繊維商社の三共生興は、トータルボディケアブランド「Obi(オビ)」を立ち上げ、化粧品事業に参入する。生糸や絹織物の輸出から事業を興し、100年以上にわたりシルクと関わってきた同社が、自社のルーツを新たな領域へと広げる。ブランドディレクターには、マッシュビューティーラボで「Biople(ビープル)」の企画・ディレクションを担った佐藤香菜氏を起用。シルクと日本の植物素材を掛け合わせ、部位ごとに異なる体の肌状態に応える5品をそろえる。公式オンラインストアでは9月1日から先行販売を開始し、9月18日からベイクルーズのコスメセレクトブランド「L’EAU par iéna(ロー パー イエナ)」や「Ron Herman(ロンハーマン)」などアパレル系セレクトショップを中心に展開する。

 三共生興は1920年、創業者の三木瀧蔵氏が横浜で生糸や絹織物を外国商館に販売する三木商店を設立したことに始まり、戦後には絹織物の取り扱いを拡大。その後はファッション事業にも領域を広げ、英国発「DAKS(ダックス)」や仏発「LEONARD(レオナール)」などを手掛ける。2020年に創業100周年を迎えたことを契機に、改めて原点であるシルクに関連した事業を強化。その一環として、シルクを衣料だけではない用途へ広げる取り組みを進め、ビューティ領域への応用に行き着いた。

同社は、化粧品開発が未知の領域だったため、製品を作る知識だけでなく、化粧品市場や小売りの現場を理解し、「何が消費者に選ばれるか」まで見通せる人材として佐藤氏を起用した。佐藤氏は「三共生興らしいシルクという素材を使いたいという話を聞き、そこに強く引かれた」と振り返る。佐藤氏も父方の実家が群馬県にあり、幼少期に養蚕に触れた記憶を持つほか、母方にも絹に関わるルーツがあった。「自分にとってシルクは全く縁のない素材ではなかった。そこにも縁を感じ、シルクを何らかの形で生かしたボディケアブランドを作ろうとプロジェクトを始めた」。

ブランド名の「Obi」も、シルクから生まれる日本を象徴するものとして選んだ。海外でも日本文化を想起させる名称であることから、将来を見据えたグローバルな視点も込めている。「化粧品は出来上がってからでは修正できない部分が多い。これまでの経験から、最初に押さえるべきポイントをすべて生かして開発した」と佐藤氏。例えば外箱には、消費者が「自分の肌にどう働きかける製品なのか」を理解しやすいよう、表現できる範囲で製品の特徴を明記。店頭で販売する側の視点も、ブランド設計に組み込んでいる。

カテゴリーをボディケアに絞ったのは、シルクという素材の特性を生かすためだ。佐藤氏は「シルクを生かすのであれば、圧倒的にボディケアだと思った」と話す。体は皮膚の薄い部分もあれば、ひじやかかとのように角質が厚くなりやすい部分もある。「全部を同じようにケアするのではなく、パーツごとにしっかりケアできるものがあればいいと思っていた」。こうした発想から、部位ごとの肌状態や悩みに応える製品をそろえた。

全製品には加水分解シルクを配合するなど、同社が培ってきたシルクの技術を化粧品に応用。さらに東京都の離島・利島産の椿油を採用し、シルクと椿をブランドを象徴する二つの美容成分に据えた。

デビュー時には5品をそろえる。濃縮タイプの入浴料「Obi ハーバルバスエッセンス」(150mL・4950円)、洗浄、引き締め、透明感ケア、保湿の4役を担う「Obi スムージングボディスクラブ」(200g・4950円)、全身用化粧水「Obiモイストボディウォーター」(150mL・3630円)、マッサージしながら使える「Obi マッサージボディクリーム」(150g・4730円)、ひじや膝、かかとなど乾燥やごわつきが気になる部分に向けた「Obi ソフトニングボディクリーム」(120g・4730円)で構成する。

繊維・ファッションを主戦場としてきた三共生興にとって、Obiは創業以来培ってきたシルクの知見を新たな市場へ展開する事業となる。佐藤氏の化粧品市場と小売りの知見を掛け合わせ、シルクを起点に化粧品事業の育成を図る