タカラベルモントは、2025年11月1~2日に開催された「第30回日本顔学会大会(フォーラム顔学2025)」において、開発本部による口頭2題、ポスター1題の発表を行い、口頭発表2題がオーディエンス賞と阿部賞を受賞した。同大会で同社が受賞するのは今回が初めてとなる。また、計3題の発表は、同社として過去最多となった。

左:表彰後に記念撮影する森田彩氏(左)と井上直子氏 右:ポスター発表する大川源登氏

顔学会大会は年に1度開催され、今回の第30回大会では、美容のほか医療・診断支援や印象評価など、全58題(口頭28題、ポスター25題、デモ展示5題)の顔に関する幅広い分野の研究成果が発表された。

オーディエンス賞は、その考案が顔学に多大なインパクトを与えたものを参加者の投票によって選定。阿部賞は、その着想と構想において顔学構築にインパクトをもたらす期待の研究を選定するものだ。

・オーディエンス賞(口頭発表):「ECILAフィールドテストから見えた顔学的知見-顔パーツ特徴量のデータ拡充と詳細分析-」

発表者:井上直子氏、山口直峻氏、水谷元氏、輿水大和氏(YYCソリューションCEO・中京大学名誉教授)

同社製品「ECILA」※の顔診断機能を活用し、10~79歳の女性6501名分のデータを分析した。年代が上がるにつれて顔の印象が直線で大人的な方向へ推移することを定量的に示した。16項目の顔パーツの特徴を年代別に分析し、唇の厚さ、目の角度、顎下端周辺の形状、パーツ配置の縦横比において、年代別の分布の違いを明らかにした。

⇒年代が上がるにつれ、唇が薄く、目は垂れ目、顎は丸く、パーツ配置は縦長になる(中顔面が長くなる)傾向が分かった。また、年代が上がるにつれて個人差が大きくなることが示唆された。

※ECILA:同社独自技術を含む最先端AI搭載のサロン向けスマートデバイスミラー。68点の特徴点をとらえて分析することで顔の印象を判定し、なりたいイメージや印象に合ったヘアスタイルの提案につなげる顔診断機能を持つ。23年10月に発売され、全国でのべ1万9千回以上(25年12月1日時点)の顔診断が行われた。

【開発本部インキュベーションラボ 井上直子 研究員コメント】

本研究で明らかになった顔の印象の推移や顔パーツの年代差は、広く感覚的には「こういう傾向がある」と思われているものの、未解明な点が多い分野でした。本研究ではECILAが蓄積したビッグデータを活用し、6千人以上ものデータを分析するというこれまでにあまりない手法を用いたことで、定量的な裏付けを得ることができました。今後も研究を進め、データに裏打ちされた美容アドバイスにつなげてまいります。

・阿部賞:「相同モデル化技術を用いた顔貌の加齢変化の男女特徴解析と魅力的な笑顔の評価検討」

発表者:森田彩氏、小玉陽月氏、上川裕子氏

1.笑顔の種類毎に表情筋が使い分けられていることを視覚化し、表情の動きを定量的に表せるようになった。

⇒相同モデル化(人体など複雑な形状データについて、特徴を残しつつ、比較できるよう標準化した三次元モデルを作成する)技術を用いて、愛想笑い、癒しを感じたときの笑い、爆笑の3種類の笑顔の表情の動きを解析。3種類に共通する特徴的な表情の動き①~③を特定し、アニメーションで可視化することで表情筋の使い分けを視覚的に分かりやすく表現。主成分分析を行うことで定量的な比較を可能とし、愛想笑い、癒しを感じたときの笑い、爆笑の順にそれぞれの動きが大きいことが分かった。

2.若年層、高齢層だけでなく、中年層における顔立ち(真顔)の年代特徴を明らかにした。

⇒相同モデル化技術を用いて、20代~60代の顔立ち(真顔)の特徴を年代別に解析。輪郭が崩れる部位や間延びする部位など、特徴が現れる部位に男女差があることや、男性は30代を境に特徴の傾向が変化する可能性を示した。

顔の形状は人それぞれ非常に複雑であり、数値化や比較が難しかった。しかし、同研究では相同モデル化技術を用いて多数のデータに対し複合的な解析を可能としたことで、年代別に細かく特徴を見いだせるようになり、笑顔についても表情筋の使われ方を分解してそれぞれ定量評価が可能となった。その結果、上記1、2という新たな成果をもたらした。

【開発本部技術開発グループ応用研究チーム 森田彩 研究員コメント】

今後データを増やし、年代別に定量評価することで、例えば加齢によって低下しがちな笑顔の質を高めるための表情筋の使い方の提案など、エステや化粧品分野での応用を目指したいと考えています。また、笑顔の種類を判別できる可能性があるため、美容以外の幅広い分野での活用も期待できます。

・ポスター発表:「好みの組み合わせ傾向に基づくパーソナライズヘアスタイル推薦手法の提案」

発表者:大川源登氏、大西重範氏、水谷元氏、輿水大和氏(YYCソリューションCEO・中京大学名誉教授)

ヘアスタイルを選ぶ際に着目される要素(髪の長さ、前髪、アウトフォルム、ボリューム、髪色、髪の印象、見た目年齢/性別)を学習した独自AIを開発し、好みに合ったヘアスタイルを推薦する精度が男女とも向上した。

上記独自AIを用いて、被験者が特に重視する要素を推定し、それに基づいたヘアスタイルの推薦を行うと、女性では好みに合ったスタイルを推薦する精度がさらに向上した一方、男性では低下し、性別間での性能差が見られた。

学習した要素は女性データより抽出したため、男性の好みをより反映させるには、「サイドの刈り上げ量」や「トップの立ち上がり」といった男性特有の要素を抽出する必要があると考えられる。

【開発本部システム開発グループシステムエンジニアリングチーム 大川源登 研究員コメント】

理美容業界では「お客様のイメージ通りの仕上がりをかなえる」ことが永遠の課題ですが、ヘアスタイルの好みは感覚的で曖昧な表現になることが多く、イメージの共有は簡単ではありません。お客様の好みに合ったスタイルをその場で提案しやすくなるよう、当社製品「ECILA」への搭載を目指し研究を続けてまいります。