花王は、12月8~10日にパシフィコ横浜ノースで開催された「第3回日本化粧品技術者会学術大会」において、最も優れた口頭発表に対して与えられる最優秀口頭発表賞を受賞した。今回の学術大会では、一般研究発表計109件(うち口頭発表40件)の中から花王の研究が選ばれた。受賞タイトルは「皮脂RNAとクチコミを活用した化粧品選択システムの開発」。

化粧品を選ぶ際にしばしば口コミが参考にされるが、口コミ投稿者が高評価した商品が、必ずしも閲覧者にとって好ましい商品でないことも生じる。この理由として、花王は口コミ投稿者と閲覧者の肌特性が異なることに着目した。花王はこれまでに、皮脂に含まれるRNAの発現情報の類似度から、顔について少なくとも二つの肌タイプ(RNA肌タイプ)分類が可能であることを明らかにしており、今回、RNA肌タイプを用いた化粧品選択への活用の可能性を検討した。

今回の研究では、日本最大級の美容プラットフォーム「@cosme」を運営するアイスタイルと協働し、4000名以上の@cosmeユーザーから得られた皮脂RNAと口コミデータを照合し、RNA肌タイプによって口コミ評価が異なる商品があることを明らかにした。例えば、あるアイテムは口コミをRNA肌タイプ別に集計した結果、一方の平均評価点が5.9点であったのに対し、もう一方の平均評価点は4.1点と、1.8点の評価点の差が見られた。

この結果から、RNA肌タイプを考慮することで、生活者が自分に適した化粧品をより効率的に選択できる可能性が示唆された。さらに、肌を客観的に捉える新指標として研究開発への応用も期待される。