エステーは、大手自動車メーカーのスズキと車の移動を不快に感じる人に向けて、快適な車内空間をサポートする「Air Forest YOWAN(エアフォレスト ヨワン)車用エアケアキューブ」を共同で開発した。2025年春までに、スズキ公式ECサイト「S-MALL」とスズキ販売店で発売する予定だ。

スズキの社内調査において、自動車に同乗する人の約23%が乗り物酔いに困っていると回答(n=4104)している。また、乗り物酔いは運転手には起こりにくいが、自動運転の技術が発達すると、搭乗者全員が乗り物酔いの対象になり、乗り物酔いの課題はさらに拡大する可能性がある。


自動運転時代に向けてエステーとスズキが連携

乗り物酔いは、乗り物の揺れやスピードの変化といった内耳(三半規管など)が感じる情報と視覚で受ける情報、体が感じる情報がズレることにより起こり、不快感・ストレス・不安などの精神的因子も影響していると言われている。特に車内の不快なニオイなど、嗅覚から感じる不快感は、過去に乗り物酔いした記憶とともに不安を呼び起こし、乗り物酔いを誘因することもある。乗り物での移動に対してストレスを感じる要因にもなり得る。スズキの社内調査でも車酔いに悩む人の約64%が車内のニオイなどの不快感が自身の車酔いに影響していると思うと回答(n=954)している。

そこでエステーとスズキが車内の不快なニオイを軽減し、快適な車内空間を実現することを目的に協業。「Air Forest YOWAN 車用エアケアキューブ」の開発の過程では、実際の車内で香りの官能評価を繰り返し行った。9種類の香りの候補から検討を重ね、車内の不快臭に効果が高く、車内空間の心地よさを追求した香りを採用した。

同商品はよどみやすい車のニオイ空間に森の香りの力でアプローチし、快適な空間へとサポートする車移動が苦手な人向けに開発した車用消臭芳香剤である。北海道トドマツの天然精油を配合し、爽やかな心地よいグリーンの香りとなっている。車の中の不快臭に対する高い消臭効果がある。

この天然精油はエステーグループの日本かおり研究所が国立研究開発法人 森林研究・整備機構とともに開発した北海道トドマツの間伐材から抽出した機能性樹木抽出成分の「クリアフォレスト」である。これまで自然廃棄されていた未利用の枝葉を有効活用し、樹木の香りで空気の質を改善する画期的かつサステナブルな成分として注目を集めている。

「Air Forest YOWAN 車用エアケアキューブ」は、公益財団法人デザイン振興会主催の「2024年度グッドデザイン賞」を受賞。同賞は日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみで、25年春の発売に向けて弾みがついたと言えるだろう。

月刊『国際商業』2024年12月号掲載