NIKKOLニコソームPV-PF
日光ケミカルズは、優れた浸透促進効果を有するベシクルを形成する「NIKKOL ニコソームPV-PF」の提案を強化している。同製品は、非イオン性界面活性剤から構成されるプレミックス原料で、水に添加後、撹拌するだけで、簡易にベシクルを形成させることが可能だ。一般に、ベシクルは界面活性剤が形成する構造体の一種で、化粧品・医薬品業界において、ドラッグデリバリーシステム(DDS)に応用され有効成分の浸透促進などに利用されている。
化粧品では、例えばビタミンCなどの有効成分の浸透を促進するために使われることが多い。これまでもベシクルと呼ばれるものは存在している。しかしこうした先行品は、生体適合性、有効成分の浸透性といった面で優れているが、コスト、安定性、技術がボトルネックとなっていた。コストが高く、製剤中での安定性にも課題があるため、高級ブランドでの採用は進んでいるものの、中価格帯ブランド以下のいわゆるセルフ商品への転用が難しかった。製造や処方開発など技術力も求められるため、汎用性に欠けていた。
今回、日光ケミカルズが提案を進めている「NIKKOL ニコソームPV-PF」は、低コストで、安定性も一定の水準を保っている。製造に関しても水に混ぜるだけでベシクルができると、セルフカテゴリーでも採用しやすい簡便性を持ち合わせる。
浸透性については、3D皮膚モデルを使って測定。他成分と比較して表皮層で浸透性に優れることが示された。ベシクル膜の流動性が高いほど浸透性が高いと考えられている。この点についても、他の比較対象と比べて有意差があった。
実際に有効成分を封入し、肌への効果についても検証。具体的には、「NIKKOL ニコソームPV-PF」に水溶性の有効成分であるナイアシンアミドを封入し、塗布することでナイアシンアミドの作用であるコラーゲン産生が促進されるかどうかを調べている。その結果、ナイアシンアミド0.5%、「NIKKOL ニコソームPV-PF」5%を配合した製剤において有意にコラーゲン産生量が増えた。浸透性が高まることで、有効成分の効果向上も期待できることが実証された。
ナイアシンアミドの浸透性データ
「NIKKOL ニコソームPV-PF」は、肌だけではなく、髪に使うことでもその効果が期待できる。「NIKKOL ニコソームPV-PF」と加水分解ケラチンをベシクル化して毛髪につけることにより、毛髪への浸透が促進されたことで、毛髪のしなやかさが向上したというデータも取れている。
さまざまな分野での活用が期待される「NIKKOL ニコソームPV-PF」。今後の研究の深掘りによっては、より広範囲に使用が可能になりそうだ。