明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、佳き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は株式会社コーセー、ならびにコーセーグループ各社に対しまして格別のご厚情を賜り心よりお礼申し上げます。
新型コロナウイルスによる感染もようやく下火に向かい、明るさが見えつつありますが、世界的には感染拡大はおさまらず、変異種の発生なども見られ、引き続き感染防止への努力は欠かせません。
コロナ禍は経済活動に大きな逆風となり、激しい環境変化をもたらしましたが、皆さまのご努力が化粧品業界を力強く支えてくださっていることに心より感謝申し上げます。
昨年来、コーセーは医療従事者を支援する活動を続けていますが、多くの方々からお礼の言葉をいただきました。化粧品で癒された、笑顔になれた、コロナと戦う勇気が出た……化粧品が心や気持に働きかける大きな力を持つことを改めて認識させられました。また最近の様々な調査において、人々が化粧する目的も変わりつつあると報告されています。これまでの身だしなみという要素に加えて、「自分自身のために」という内面のココロに応えることに変りつつあるそうですが、今までに無い新しい需要も期待できるものと考えています。
企業には「変えるべきことと、変えてはならないこと」があり、私は常にこれを峻別して経営にあたってきました。商品開発力の高さ、付加価値の高い商品とサービスの提供などコーセーの良さは守るべきものですが、「変えてはならない」からといって「何もしなくてよい」わけではありません。時代も、お客さまも、常に変化しています。特にコロナ禍ではその変化を強く感じさせられました。
一方で「伝統は革新の連続である」といわれますし、「不易流行」という言葉もあります。「不易」とは「いつまでも変らないこと」、「流行」とは「時代とともに変化すること」ですが、「時代にあわせて常に変化を重ねていくことこそ不易の本質である」という意味です。時代を超えてお客さまに選ばれ続ける存在であるためには、常に自らも変り続けることが大事です。それが、企業の伝統や文化を守り、お客さまから必要とされる存在であり続けることにつながります。
私は、日本ならではの化粧文化を継承していく必要があると考えます。メイド・イン・ジャパンならではの高い品質と付加価値、日本人の高いホスピタリティ……日本の化粧品業界には世界に誇る「良さ」がたくさんあります。お客さまとお店の強い信頼関係、お客さまに寄り添うカウンセリングなど、化粧品専門店ならではの存在意義をもっと再認識すべきですし、時代にあわせた進化が必要です。
コーセーは、時代の変化に対応した付加価値の高い独自のモノづくりや、顧客創出に積極的に取り組み、皆さまと共に繁栄への道を追求してまいります。今後とも一層のご支援ご協力をお願い申し上げますとともに、皆さまの益々のご多幸とご発展を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
小林一俊(コーセー 代表取締役社長)