P&Gのパンテーンは、リサイクルしやすい単一素材を採用した詰め替えエコパウチとアルミボトルを10月23日に発売する。従来のパウチは複数の素材を使用していたから、リサイクルに向いていない。P&Gのエコパウチは、ポリエチレンベースのフィルムのみだから、容易にリサイクルできるという。一方、耐久性、安定性に優れ、品質の劣化が少ないアルミボトルは、プラスチック使用量の削減に打ってつけだ。だが、課題は、日本の生活者に馴染むかどうか。どちらかといえば、アルミボトルは実験的な要素が強いようだ。いずれにせよ、どちらもプラスチック使用量削減に向けた野心的な取り組みである。花王、ライオンも含めて日用品企業は、環境負荷低減への動きが多様だが、それと対象的なのが化粧品業界。容器関係の話題は聞こえてくるものの、企業の垣根を越えた取り組みはなかなか広がらない。ある団体の試算では、年間5000億円分の化粧品が返品となり、焼却処分されているという。プラスチックはもちろん、内容物や物流の無駄で生じる環境負担もバカにならない。返品の山が生じていると槍玉にされがちなのはファッション業界だが、その次は化粧品業界ではないか。「環境を打ち出しても売れない」(製販の関係者)などと悠長なことを言っているようでは、業界全体が白い目で見られる状況に陥っても不思議はない。

月刊『国際商業』2021年11月号掲載