矢野経済研究所は、国内の化粧品受託製造市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

2018年度の国内化粧品受託製造市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比112.1%の3250億円となった。2005年の改正薬事法施行による市場参入の規制緩和を契機に、化粧品ブランドメーカーや異業種からの新規参入企業による、化粧品受託製造企業への生産のアウトソーシングが進んでいる。

また、インバウンド需要も一時減速するも回復基調に転じていること、アウトバウンド需要(輸出先における現地需要)が引き続き拡大したことで、日本製化粧品の増産は継続しており、化粧品受託製造市場は好調に推移している。

中国EC法でインバウンド鈍化も、関税引き下げ措置で市場は好調

2019年1月施行の中国の電子商務(EC)法により、中国人のソーシャルバイヤー(個人で営むネット通販事業者)も公的に登録申請し、営業許可を得る必要が生じ、代理購入などインバウンドの減速が危惧されている。

一方で、2018年7月の日用品の輸入関税率の大幅な引き下げの対象品目には、スキンケアやヘアスタイリング剤など化粧品を含むものであり、日本製化粧品輸出(アウトバウンド)拡大への追い風になっている。

今後は、国内化粧品市場は、ベースの国内消費(国内需要)に加えて、海外需要による日本製化粧品の増産トレンドが続いている。化粧品ブランドメーカーや異業種からの新規参入企業による生産委託(アウトソース)も引き続き進んでおり、2019年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)を前年度比108.0%の3,511億円になると予測する。

■調査要綱
1.調査期間:2019年4月~7月
2.調査対象:化粧品受託製造・容器・原料参入企業、化粧品メーカーその他関連企業・関連団体等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面接、電話等によるヒアリング、郵送アンケート調査ならびに文献調査併用

<化粧品受託製造市場とは>
本調査における化粧品受託製造市場とは、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、その他化粧品について、化粧品ブランドメーカー(本舗メーカー)や異業種参入企業から委託され、製造する市場を指す。