「日本の絹産業を甦らせる」。5月16日にローンチイベントを開いたシルクスキンケアブランド「QINUDE(キヌード)」は、3商品を展開するが、その背景にある思いは強い。

ブランドの企画・開発は、博報堂の子会社で、創業者の目線でビジョンを描き、顧客を想像し、情熱を持って事業を生み出す、未来のビジネスやプロダクトを創造するスタジオ「クオンタム」だ。同社によると、純国産の絹が使われている着物は、わずか1%。当然、絹を生産する養蚕農家も激減している。そこでクオンタムが目をつけたのは、品質は十分だが、わずかな傷などによって着物に使用できない多くの絹。これを有効活用すれば、養蚕農家に新たな収益源を提供できるのではないか。クオンタムは日本の絹産業を支える「絹甦(けんこう)プロジェクト」を立ち上げ、商品化を模索した。

   クオンタムの高松充社長

その過程で、人の肌と絹は、ほぼ同じアミノ酸でできていることに気がついたという。京都で約460年続く京友禅の老舗「千總(ちそう)」の礒本延専務の「常に絹を触っている職人の手はきれい」という指摘も活かし、同プロジェクトは、絹を活用したスキンケアブランド「キヌード」を開発した。

  千總(ちそう)の礒本延専務

とはいえ、数多のナチュラル・オーガニックブランドが活躍する化粧品市場において、新ブランドが存在感を発揮し、成長を続けるのは至難の業だ。そこでキヌードの差別性を高めるために、千總が着物に使用する高品質の純国産・絹から取り出した天然成分で、なめらかな美肌に整える効果がある「シルクフィブロイン」を配合した商品を開発した。

まず2016年から京都の高級ホテル「ホテルカンラ 京都」にアメニティを提供。国内外の観光客から「どこで購入できるのか?」という声が届くようになり、ホテルカンラ 京都がクオンタムに商品化を打診。これを機に生まれたのが「キヌード ダブルクレンジングジェルK」(150ミリリットル・4700円)、「同ローション K」(150ミリリットル・6000円)、「同モイストミルクK」(150ミリリットル・7900円)の三品で、6月28日に発売する。

左から「キヌード ローションK」、「同ダブルクレンジングジェルK」、「同モイストミルクK」

今後は、ハンドクリーム、ドリンク剤などを投入する予定で、「素肌にまとう絹」をキーメッセージに、EC中心に販路を拡大する考え。さらに京都の新しいお土産として認知を広げていくことも進めており、6月28日〜8月中旬まで、京都の千總本社でポップアップストアを設置する。