健康食品や医薬品のCDMOである三生医薬は2022年11月24日にイノベーションセンターの開設に伴い、メディア向け発表会を開催した。同センターは、同社最大規模のソフトカプセル専用工場の南陵工場(静岡県富士宮市)に隣接、総工費約25億円を投じて建設した。地上2階建てで、1階は同社独自の製剤技術「ユニオーブ」の生産施設、2階は健康食品を含む最先端の製剤・カプセル技術の研究開発施設と新規品の施策・評価などを行うラボエリアとなっている。2階のラボは、20年に東京・大井町に新設したサプリメント試作施設「ADC」と連携して顧客サービスを充実させる予定。
イノベーションセンターの最大の目玉は、1階のユニオーブ生産棟。ユニオーブとは、有効成分を含むゲルと不溶性微粒子の外層からなる被膜粒子のこと。この開発が進めば、既存の技術では製剤化が困難だった成分においても、経口製剤化が可能となるという、画期的な技術。三生医薬とユニオーブの共同開発を進めている静岡県立大学薬学部の尾上誠良教授は、同発表会での基調講演で、「ユニオーブは医薬品の開発の可能性を高めるゲームチェンジャー」と言及。三生医薬の今村朗代表取締役社長も「イノベーションセンターの開設はわれわれの念願だった。特にユニオーブは、静岡発のグローバル企業を目指すうえでの大きなドライバーになる」と期待を寄せた。★
月刊『国際商業』2023年02月号掲載