PETボトルをはじめとしたプラスチックボトルを生産するストレッチブロー成形機の大手総合メーカー、日精エー・エス・ビー機械は、ワンステップインジェクションストレッチブロー成形機のリーディングカンパニーとして、画期的な「二層成形法」を開発した。

これまでの多層成形は、異なる材料の薄い膜をつくることで容器の性能向上を図ってきたが、同社の開発した「二層成形法」は、2種類の材料の組み合わせや使用比率、成形順序を、容器用途に応じて変更できる点に特徴がある。これにより容器づくりの選択肢が広がり、安全性・機能性・デザイン性だけでなく、リサイクルPET樹脂の使用を促進し、環境配慮型の容器成形が可能となる。

日精エー・エス・ビー機械は、「二層成形法」のため、既存の4ステーション成形機「ASB-12N/10型」をベースにした専用機、「ASB-12N/DL型」プロトタイプモデルを開発。同モデルは、射出型と射出ユニットを追加した5ステーションで構成される。さまざまな樹脂が成形可能な汎用性に優れたASBシリーズのため、内外層に別々の材料を使用することで、物性強度や外観品質を向上することができる。

二層成形が可能な『ASB-12N/DL型』1ステップ射出延伸ブロー成形機プロトタイプ

今回開発した「二層成形法」を活用することで、例えば多くの国で食品安全規制等によるリサイクルPETの食品用途への利用制限がある中、外層にリサイクルPETを使用し、内容物に接触する内層にバージンPETを使用することが可能となり、安全性を高めることができる。そのため食品容器への転用が広がるとともに、環境にも配慮した容器提案が可能となる。

内容物に触れる内層にバージンPET、外層にリサイクルPETを使用した環境配慮型食品・飲料二層容器

また、エアレスポンプ容器では、外層は原形を維持したまま、内容物(醤油など)を消費するごとに内層のみが収縮。内容物が外部の空気に触れないため、酸化による劣化を防ぎ、開封後の消費期限の延長が可能となる(下画像参照)。

内層にPP製変形吸収容器、外層にPETを使用した二層エアレスポンプ容器

化粧品分野においては、内層または外層にPP樹脂などの水分バリア性の高い材料を使うことで、マスカラ、保湿ローションなど化粧品の揮発を防ぐことができる耐水分バリア容器や、細口・広口などネックサイズのバリエーションが豊富で、深みのある発色の超肉厚・厚底のガラスライクな高級化粧品容器の成形が可能となる。さらにストライプ柄、内部リブ、グラデーションなど、デザイン性の高い容器成形も可能だ。

二層化粧品容器バリエーション

二層容器バリエーション-左端は超厚底容器、中央右はストライプ柄容器

日精エー・エス・ビー機械では、市場の要求に応え、実用性をさらに高めるため、量産機を含め機械の開発やプロセスの改良を今後も進めていく考えだ。